整形外科医のけが(受傷歴)|名古屋市中村区の整形外科|平野整形外科

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整形外科医のけが(受傷歴)

整形外科医を目指す人の中には、若い頃に大きなけがをして整形外科にお世話になった経験がきっかけで、進路を決めた人も多いようです。

私の場合、学生時代にけがをして整形外科医を志したわけではありませんが、整形外科医になってから、さまざまなけがや疾患を自ら経験し、その体験を通じて診断能力を高めてきたと自負しています。

やはり、実際に自分でけがをしてみないと分かりづらいことも多くあります。
今回は、私自身の受傷歴をご紹介したいと思います。

ちなみに、私(院長)の趣味はマラソンで、よく走っています。

走り始めたばかりの頃は、左膝の外側が痛くなり、ランニング途中に走れなくなって足を引きずりながら帰宅したことがありました。これは腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)と呼ばれるもので、最も有効な治療は安静です。適切なストレッチとランニングフォームの見直しにより、再発を防ぎます。必要に応じて薬物治療も併用します。

また、長距離を走っていると、あちこちの筋肉が痛くなることはよくありますが、走れないほど痛くなったのは右下腿(すね)の外側中央部に痛みを感じたときです。
**前脛骨筋(ぜんけいこつきん)**という筋肉の表面に腫れや熱感があり、MRIを撮影したところ、筋膜に浮腫と炎症が見られ、走りすぎによる筋膜炎と診断しました。ランニングを中止し、ストレッチを続けたことで軽快しました。

他にも、右膝の外側後方にある腓骨頭(ひこつとう)からヒラメ筋にかけて痛くなったこともあります。これはヒラメ筋付着部の炎症と診断し、その部位に**トリガーポイント注射(ステロイドと局所麻酔)**を行いました。1回目の効果は今ひとつでしたが、2回目で劇的に改善し、すぐに痛みが軽減しました。

運動を続けていると、いろいろな部位に痛みが出ることがありますが、通常は運動を控えることで改善します。それでも改善しない場合は、ぜひ整形外科にご相談ください。

トレーニングの一環としてジムに通っていた際には、バーベルスクワット中に急性腰痛を発症したことがあります。
腰の奥で「プチッ」と組織が切れるような感覚があり、その後、前屈できなくなりました。いわゆるぎっくり腰です。

さらにその後、左下肢後面に痛みとしびれが出てきて、腰椎椎間板ヘルニアを発症しました。
薬物治療とリハビリを続けましたが改善せず、仙骨硬膜外ブロック神経根ブロックなどの注射療法も受けました。

しかし、ブロック治療は一時的な効果にとどまり、特定の姿勢で痛みが強くなる状態が続いたため、ヘルニコア(椎間板ヘルニアを縮小させる注射治療)を受けました。通常はこれで改善するケースが多いのですが、再度ぎっくり腰を起こしてしまい悪化。
最終的には手術治療を選択しました。現在は問題なくランニングできるまでに回復しています。

また、運動とは関係ありませんが、医師になりたての頃、手術に不慣れで指に力を入れすぎてしまい、腱鞘炎(ばね指)になったこともあります。1か月ほど改善せず、最終的に腱鞘内注射を受けました。
注射の中でも、ばね指への注射は特に痛みが強いと感じています。

前回のブログでもご紹介したように、当院では注射療法を行うこともあります。
患者さんの中には、

「先生、この注射の痛さ、分からないでしょう? 平気な顔して打ってるけど……」

とおっしゃる方もいらっしゃいます。

ご安心ください。注射の痛み、私もよく分かっています。経験者ですから。
と、いつも笑ってお答えしています(笑)。

今回は、私の受傷歴の一部をご紹介しました。
患者さんの痛みがよく分かる整形外科医、それが平野整形外科の院長です。